林蘊蓄斎の文画な日々
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(東京名所)浅草公園瓢簞池

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細馬宏通『浅草十二階 塔の眺めと〈近代〉のまなざし』(青土社、二〇〇一年六月八日)読了。じつにスリリングは論考だった。都市論のようでありメディア論のようであり、結局は文学論だった。いや、ジャンルを区切ることがまったく意味をなさない近代に対するアプローチである。知的好奇心によってもたらされた探求の成果を、しいていえばベンヤミンのような語り口で披瀝する、そんな一冊。

十二階と通称された浅草の凌雲閣は明治二十三年の十一月十一日に開業し、関東大震災(一九二三年)にいたる三十三年間、善くも悪くも東京のランドマークとして存在しつづけた。わずか五十三メートルだった(!)。本書は十二階そのものについてはもとより、エレベータ、写真師小川一眞、パノラマという言葉の変遷、浅草の展開について、さらには田山花袋や石川啄木の文学論や生き様にまで踏み込んで行く。

一番目の写真は小生が所蔵する絵葉書、二番目は本書の図版である。ほぼ同じ角度から煉瓦の高塔を撮っている。しかしよく見るといろいろな違いがある。中央のサラセン風の建物は明治四十五年に建てられた浅草国技館。本書によれば、これは大正三年に日活に買い取られ「遊楽館」となり、大正六年に「吾妻座」となり、大正九年に焼失してしまう。本書の挿絵には屋根に「遊楽(館)」の文字が上がっており、向って右手に新しい建物(十二階演芸場、明治四十四年に設置され翌年改築されて立派になった)ができているが、小生の絵葉書にはまだその文字も建物もない。おおよその製作年代が分かってくる。

細馬さんは十二階を調べることによって絵葉書の魅力にとりつかれたそうだ。今ではさまざまな絵葉書をおよそ一万枚所蔵されているというが、それだけの魅力をこの小さなカードがはらんでいるということは、こんなささいな観察からも分かってもらえるだろう。

細馬宏通×林哲夫「絵葉書」談義
◉9月25日(土)13:00〜
 
高麗美術館 Koryomuseum of Art
所在地京都市北区紫竹上岸町15
TEL075-491-1192
FAX075-495-3718
開館10:00-17:00 (入館は16:30まで)
休館毎週月曜日(ただし、祝日と重なる場合は翌日)
年末年始・展示替期間
http://www.koryomuseum.or.jp/
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by sumus_co | 2010-09-16 21:42 | 古書日録
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