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改訂古今聖歌集

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『改訂古今聖歌集』(古今聖歌集改訂委員会、一九三四年三月一日五版)。『しんぶん赤旗』の水曜エッセイに「古本を描く」という話を書いたところ、読者の方より、「とてもいい古本がありますから差上げます」といって編集部に届いたのがこの一冊。それが転送されてきた。たしかに絵になる(!)

讃美歌集は明治以来そうとうな数が刊行されており、それを集成した『明治期讃美歌・聖歌集成』(大空社、一九九六年)という本も出ているようだ。じつは小生も二冊ほど持っている。一冊は『新撰讃美歌』(警醒社、一八八八年)で、残念ながら表紙奥付が取れている、ま、だから安かった。植村正久らが飜訳したもの。これは明治の新体詩に大きな影響を与えたとされている。例えば島崎藤村はその著書『若菜集』(春陽堂、一八九七年)に『新撰讃美歌』の一部をそのまま利用した。

 ゆふぐれ志づかに
      ゆめみんとて
 よのわづらひより
      志ばしのがる

b0081843_16534940.jpg

これは名著複刻全集『若菜集』の該当ページ。そして『新撰讃美歌』の該当ページ。COOLING は曲の名前。同じ曲で別の歌詞がつくものがある。

b0081843_2141135.jpg

「いのりせん」を「ゆめみん」に置き換えたわけだ。これは影響を受けたというよりもパロディの対象としたと言った方がいいかもしれない。「祈り」を「夢」に替えたらもう全く世俗の歌そのものである。この歌は頂戴した『改訂古今聖歌集』にも収められている。

 ゆふぐれ しづかに  いのり せんとて
 よの わづらひ より  しばし のがる

ただし五連までとし、『新撰讃美歌』の一、三、四だけ生かし、四、五は新たな歌詞に変った。原詞「I Love to Steal Awhile Away」はブラウン夫人(Phoebe Hinsdale Brown)によって一八一八年頃に書かれたそうだ。

 I love to steal awhile away
 From every cumbering care,
 And spend the hours of closing day
 In humble, grateful, prayer.

 I love in solitude to shed
 The penitential tear,
 And all His promises to plead
 Where none but god can hear.

 I love to think on mercies past,
 And future good implore,
 And all my cares and sorrows cast
 On God, whom I adore.

 I love by faith to take a view
 Of brighter scenes in heaven;
 The prospect doth my strength renew,
 While here by tempests driven.

 Thus, when life’s toilsome day is o’er,
 May its departing ray,
 Be calm at this impressive hour,
 And lead to endless day.

曲とブラウン夫人についてはこちら。
http://www.cyberhymnal.org/htm/i/l/ilovsteal.htm

これを読むと、『改訂古今聖歌集』の五連は原詩の構成を生かしたのか。『新撰讃美歌』は原詞の三連目をふたつに分けて六連としたようだ。

もう一冊は『縮刷讃美歌第一編』(教文館、警醒社、一九二二年五月二五日五版、初版は一九二〇年)。編輯者代表は小崎弘道と別所梅之助。ここでは歌詞を原詞にやや忠実に変えてある。明治と大正の原詞に対する考え方がかなり違っているのが分かるような気がする。ただ六連に戻っているのはどうしてだろう。日本語では六連のほうがしっくりくるのか。

 わずらはしき世を しばしのがれ
 たそがれしづかに ひとりいのらん
 
 神よりほかにハ きくものなき
 木陰にひれふし つみになく

 うけしめぐみを おもひつゞけ
 いよゝゆくすゑの さちをねがはん

 うれひもなやみも ちゝの神に
 ゆだねまつるこそ よろこびなれ

 身にしみわたれる このゆふべの
 えならぬけしきを いかでわすれん
 
 わがよの日影の きゆるときも
 みちかひのもとに かくてあらなん

 
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by sumus_co | 2010-09-02 21:52 | 古書日録
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