林蘊蓄斎の文画な日々
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早稲田文学 第参拾九号

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『早稲田文学』第三十九号(東京堂書店、一九〇九年二月一日)、編輯所は早稲田文学社、編輯人は島村瀧太郎(抱月)である。この若き正宗白鳥、一八七九年三月三日生まれだから満三十歳少し前だ(写真はいつのものか分からないが)。

巻頭には無記名で(ということは抱月か)明治四十一年の文芸を総括した文章が載っているが、それによれば、田山花袋「生」、夏目漱石「三四郎」を抑えて、島崎藤村「春」と正宗白鳥の「何処へ」がベスト2だそうだ。それだけでなく「新体詩における口語詩運動の開始」「演劇における明治座一月狂言の新意」「小山内薫らの劇評革新」さらに、音楽、絵画、彫刻等の諸芸術についてもひとくさり批評が述べてられている。

その次の記事が林田春潮「藤岡博士の画論を評して東洋画の線条に及ぶ」でなんと二十頁におよぶ論文なのだ(本文六十六頁の雑誌)。林田は早稲田(東京専門学校)出身の美術評論家、記者。要するに当時の『早稲田文学』は美術雑誌でもあった。美術に通じるのは文士あるいは文学愛好家の当然の条件であった。他にも森鴎外がヨーロッパ美術の最先端をいち早く伝えていたことも思い起こされるし、先頭を切ってゴッホらの後期印象派を紹介したのも『白樺』(一九一〇年創刊)だった。

もうひとつ、若山牧水「冬の歌」三十首。なかにキスの歌があった。

さばかりに憎かりし女さらぬげに腕にだかれてきすせむといふ
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by sumus_co | 2010-08-21 22:10 | 古書日録
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