国吉康雄の油彩画「夢」(一九二二年作、石橋財団ブリヂストン美術館蔵)。『国吉康雄美術館報』第三号(国吉康雄美術館、一九九三年二月二六日)より。
国吉康雄美術館は岡山市内にあるベネッセコーポレーション本社社屋内にあったが、コレクションの全作品が二〇〇三年に岡山県立美術館に一括寄託された。この館報は一九九二年五月二五日に創刊号、二〇〇二年六月一日に第二十号が出て終刊したようだ。
国吉康雄は一九〇六年に十七歳で渡米し苦労したあげくニューヨーク・スチューデンツ・リーグに学ぶことによって独自の道を見出していった。一九二二年にダニエル画廊で初個展、「夢」は翌年の第二回目の個展に出品された。クニヨシの初期を代表する作品だろう。
『YaSuO画集』(京都原色版印刷社、一九三二年)。館報第三号より。一九三一年の帰国を機に刊行された作品集。そう多い部数ではなかったはずだが、現在一冊「日本の古本屋」に出ている。クニヨシの帰国はこのとき一度だけ。一九五三年五月十四日ニューヨークにて死去。アメリカの市民権取得を申請中だった。
なおダニエル画郎については拙著『古本屋を怒らせる方法』の「画家と画商のあいだ」にある程度のことを書いているので参照されたし。若きマン・レイも三度ほど絵の個展を開いている。