林蘊蓄斎の文画な日々
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上方 大阪掃苔号

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『上方』一三二号(上方郷土研究会、大阪市西成区南吉田町八十八、一九四一年一二月二五日、表紙絵=長谷川貞信)。表紙絵は木版画、別刷を張り付けてある。探墓特集では牧村源三「大阪探墓漫筆」の冒頭に次のようにあったのが興味を引いた。曲亭馬琴の『羇旅漫録』および『著作堂一夕話』に出ている西鶴、紙屋治兵衛、椀屋久兵衛(久右衛門)と傾城松山、扇屋夕霧らの墓を実際に訪ねた記事(西鶴の外は実在した歌舞伎の主人公たち)。当時、西鶴の墓は無縁になっていた。

《彼が誓願寺に西鶴の墓を訪ねた時は、此の墓は既に無縁になつてゐたと見えて、
「はからず西鶴が墓に謁す、寺僧もこれを知らざりし様子なり花筒に花あり、寺の男に何ものが手向たると問ふに、無縁の墓へは寺より折々花をたつるといふ」
 とやさしい文章で書いてゐるが、その位置は、「本堂西のうら手南向にあり、三側[ママ]目中程」とはつきり書いてあるのが、其後無縁のまゝに顧られずにあつたものを、明治になつて幸田露伴氏が発見、本堂の前方に安置した。ところが、電車開通の時に本堂南手の塀際に移され、更に昭和八年上方郷土研究会の手によつて現在の場所に新しく建て直されて、西鶴の霊もはじめて安住の地を得たやうなわけである。》

馬琴が大阪を訪ねたのは享和二年(一八〇二)という。西鶴の歿年は元禄六(一六九三)。百九年のへだたりがある。例えば今日から百九年前と言えば明治三十四年に当り、その年に歿したのは福沢諭吉、大橋乙羽、中江兆民、早矢仕有的(福沢と早矢仕は同じ二月に相次いで亡くなった)、ヴィクトリア女王、ロートレック、ベックリン、ケイト・グリューナウェイら。

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この号のもひとつの特集は「福良竹亭翁を偲ふ」。竹亭福良虎雄は明治三年十月二十二日徳島市富田浦町生まれ。徳島日日新聞、徳島新報社を経て、明治二十六年に上京、報知新聞社に入社。明治三十六年に大阪毎日新聞社に入社。以後大毎で活躍し大正十三年に顧問、その後夕刊大阪新聞や日本工業新聞に関わり、昭和十三年「大阪明治文化研究会」を創設。昭和十六年九月十三日歿。

上の写真は《淡路洲本行天女丸船上にて(昭和八年五月)》、手前右から長谷川貞信(本誌の表紙絵を描いた画家)、高石真五郎夫人、木谷千種。二列目の右から二番目が福良竹亭、菊地幽芳、久保井翠桐、南木芳太郎。
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by sumus_co | 2010-08-02 21:13 | 古書日録
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