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Der Prozess 審判

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最近は帰郷してもおちおち古本屋などのぞけなくなっている。身辺きわめて高齢社会。まあ、それでも車移動の途中でブックオフの棚をサッと撫でるくらいの余裕はあった。かろうじて一冊、カフカ『DER PROZESS』(Fischer Taschenbuch Verlag, 1993)を表紙のデザインに惹かれて購入。

『審判』(角川文庫、一九五三年)は本野亨一によって最初に邦訳されたわけだが「prozeß」は辞書によれば「1 進行、過程、経過、推移 2 手続き、操作、方法 3 訴訟」(コンサイス独和辞典)などとあって内容に照らしても「審判」が適当かどうかは分からない。ただしその後も、原田義人訳、辻訳、飯吉光夫訳、池内紀訳もみな「審判」で足並みを揃えている。丘沢静也のみが『訴訟』(光文社古典新訳文庫、二〇〇九年)とした。

だいたいがカフカの作品は本人の死後に友人だったマックス・ブロート(Max Brod)によって編集刊行され、タイトルも『審判』はじめ未発表作はブロートが付けたもの(生前のカフカとの会話に基づくというが、カフカ自身は「Der Process(Der Proceß)」と書いていた)。ブロートはちょうど梶井基次郎の作品を世に出すことに生涯をかけた淀野隆三に似ている。

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Der Proc/zess(Faksimile)
http://www.textkritik.de/brods_process/index.htm

これらは一九二五年にベルリンの Verlag Die Schmiede から刊行された初版本のジャケットと表紙(布装、ちなみにお値段は US$ 31051.41)。次は角川文庫の三十六版本(一九九三年)。小生が読んだのは同じ角川文庫版だがこの本ではない。これは単にジャケットのデザイン(鈴木成一デザイン室、装画=池田満寿夫)で買い足したものと思う。

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《サルトルは『N.R.F』の一冊をぱらぱらめくっていた。彼は笑いながら、今世紀最大の三作家だと暗示しているひとつの句を読んでくれた。プルースト、ジョイス、カフカ。カフカ? このおかしな名前に私もほほえんだ。このカフカというひとが真実偉大な作家だったとしたら、私たちがその名前を知らないはずはない……。》

と断言しているのは若き日のボーヴォワール(『女ざかり』)。今、これがいつ頃の話なのか分からないけれど、彼女がサルトルと知り合ったのは一九二九年のようだから、それから間もない頃であろう。検索してみると一九二八年刊の『La NRF』にヴァレリ、ジッド、プルーストと並んで『変身 La Métamorphose』が掲載されたようだ。飜訳者はヴィアラット(Alexandre Vialatte)。さらに翌年にもカフカの作品は『La NRF』で取り上げられているようなのでどちらかだろうか(?)

なお『審判 Le Procès』(ヴィアラット訳、Gallimard)が仏訳出版されるのは一九三三年である。

角川文庫のカフカを熱心に読んだのは三十代後半だったような記憶があるが、もの凄い作家だと思った。何を書いているのかさっぱり分からないにもかかわらず、何を描こうとしているのかはヒシヒシと伝わってくる。「今世紀(二十世紀)最大の三作家」の一人に違いない。

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風船舎古書目録』第四号(小特集1「洋楽受容の黎明期ー国楽の創生と大衆音楽」、小特集2「戦後日本演奏会小史ーある音楽愛好家のコレクションを中心に」が届いた。これははっきり言って売るのがもったいない! 音楽資料にさほど興味がなくてもそれらのグラフィックには吸い付けられる。
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by sumus_co | 2010-07-13 22:28 | 古書日録
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