昨日の文房堂のカタログで思い出して引っ張り出してみた。フランスの絵具会社ブルジョワ・エネが一九一一年三月に発行した『価格表6 TARIF No.6』工業デザイン用の絵具と画材のカタログ。これは古本屋ではなく京都のアンティーク・ショップで見つけたもの。少々お高かったが、珍しいと思って買った。
ブルジョワ・エネ(BOURGEOIS AINE)という会社は一八六七(慶応三)年にパリで創業した。「危険のない絵具」を売りとして学校関係に販路を拡げたという。一九六五年に老舗のルフランと合併してルフラン・ブルジョワとなった。
小生が学生時代にはフランスの絵具ではルフラン・ブルジョワが高級品として売られていた。イギリスのウィンザー・アンド・ニュートンと双璧だった。絵具には発色(色の美しさ)と堅牢性(長く変色・剥落しない)が求められるが、堅牢性はともかく色合いはやはり日本のメーカー(小生は当時主にマツダを使っていた。その後、顔料を自分で練って使った時期もあったが、現在はニュートン少々とホルベイン)とはちょっと感覚が違うなと思わせられる冴えがあった。
ちなみにパリへ行ってBHV(ベ・アシュ・ヴェ=日本のロフトみたいなところ)の画材コーナーを初めて訪れてびっくり。ホルベイン(もち日本製)が輸入高級画材として売られていたのだ。最近はのぞいていないので知らないが、一九八〇年はそうだった。