ウィリアムモリスで久しぶりに西村氏と会ったところ、
『神奈川県立近代美術館年報2008年度』で橋氏が触れておられた赤坂にあったレストラン・ボントンの主人・中川三吉郎が発行していた宣伝雑誌『皿』のコピーを渡してくれた。これはまた貴重なもの。神奈川近代文学館の尾崎一雄文庫が所蔵している。
上は昭和四年八月一日発行の創刊号(発行所=ボントン、赤坂区新町三丁目一九番地、発行兼編輯人=中川三吉郎)より佐野繁次郎のエッセイ「佐伯のハイカラ」に付された佐伯祐三のデッサン。佐伯のハイカラは佐伯の人物やファッションそのものに出ていると観察している。
こちらは昭和四年九月十日発行の第二号より「消息」欄の写真。《由井[ママ]ケ浜小景。右より犬養健、菅忠雄、ボントン主人、川端康成、池谷信三郎》、この号より編集は小野田龍彦が担当するとある。「消息」欄に次のように書かれている。
《佐野繁次郎二科へ入選す。彼毎月三田文学へ小説戯曲を発表して好評噴々たる新人。「画と文学で有島生馬だね」と言へば本人我と我が身をつねつて見て「一体之は夢ぢやないかしら」。》