林蘊蓄斎の文画な日々
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おぱらばん

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堀江敏幸『おばらばん』(青土社、一九九八年、写真=港千尋)。『ユリイカ』連載をまとめたもの。やっぱりうまい。パリ生活と往時回想と書物(おもにフランスのミステリ−)が渾然となってそれぞれの一篇をなしている。芥川賞をとった『熊の敷石』(講談社、二〇〇一年)をギュッと絞ったような話(「熊の敷石」はちょっと間延びしている、でもリトレの伝記をからめてきたところには唸る)が連続して面白く読んだ。

いちおう小生は画家で通しているし、なるべく多くの画家に目を向けてきたが、まったく知らなかった画家が二人登場していて、これにも堀江の捻りのきいた趣味に驚かされた(単純に小生が無知なだけかもしれないけど)。ひとりは「洋梨を盗んだ少女」に出て来るイーダ・カルスキー(カルスカヤ、Ida Karskaya)。

http://karskaya.com/?page_id=8&language=fr

《その名に沼沢の意をとどめている地区はずれの、人によってはフロベールの小説の題名や安楽死などという単語を思い浮かべるらしい、細長い通りに私は棲んでいたのだが、あたり一帯にはユダヤ人の大家をはじめとする紳士服の問屋が蝟集し、中小の店舗が開いては消え、また開いては消えるという狂態を演じていて》

と著者が暗示的に書いている場所はマレー地区のボーブール通り(Rue Beaubourg)ではないかと思われる(安楽死=Bonne mort)。以前にも言及したかもしれないが、このへんはポンピドゥーのすぐそばだから新しい画廊街となりつつあった時期だろう。

「洋梨を盗んだ少女」は、ある日、著者の目前で万引きして捕まった少女が後日、老婆といっしょに同じ店に平然と買物にきているとき、その老婆の身分証明書をちらりと見たことからはじまる。するとそこにはイーダ・カルスキーと書かれていて著者は驚く。さらにその個展を見る機会もあった。

《最も勁い感銘を受けた企画のひとつが、私の根城とおなじ通りの偶数番地にあるB画廊で開かれた、カルスカヤことイーダ・カルスキーの個展だった》

著者はそのとき生まれて初めて絵が、カルスキーの作品が欲しくてたまらなくなる。《たてつづけに三ヶ月、割のいい仕事に恵まれてやっと手が届くくらいの金額だった》けれど、かろうじて図録を二種類買って帰るにとどめた。

カルスキーは一九〇五年に、堀江はウクライナ生まれとしているが、実際はベッサラビア(ウクライナとルーマニアに挟まれた地域。一八一二年帝政ロシアに併合されこう呼ばれた。一九一八年にはルーマニアに併合され、一九四〇年にモルダビア・ソビエト社会主義共和国となり、ルーマニアが奪い返し、さらにソ連が取り戻し、けっきょく一九九一年にモルドバとして独立)のベンデリのようだ。オデッサから少し内陸に入ったところ。

医学を学ぶため一九二二年にベルギーのガンへ行き、二四年からフランスに腰を据えた。三〇年に画家のセルジュ・カルスキーと結婚。自らも絵を描きはじめる。スーチンと知り合って激励を受け、その没年(一九四三)まで親しく交流していた。スーチンの影響がうかがえる作品もある。

一九九〇年三月にパリで歿しているので、堀江が見かけたのは最晩年ということになる。ここで書かれている個展は「karskaya.com」の年譜からすれば、一九八九年の Galerie Philip でのものだろう。この画廊に関する情報があまりヒットしないのではっきり分からないが、あるいはわざわざ「B画廊」としているから違うのかも知れない。

いずれにせよ、かなりいい作家だと思う。にもかかわらず日本では紹介されていないようだ(これも断定はしません.ご教示を)。

もう一人は「黄色い部屋の謎」に出ているジャン・エリオン(Jean Hélion)。この作家は先日紹介したアラン・ジュフロワ『視覚の革命』にも名前だけは何度か出ている。アブストラクション・クレアションに参加して、モンドリアンのような幾何形体を描いた時期の後、イラストレーションのような写実へと進んだ。

http://www.centrepompidou.fr/education/ressources/ENS-HELION/helion.htm

エリオンは抽象の方が好きだな。

÷÷÷

菅直人が新しい総理大臣に決まった。三十何年か前、小生、東京郊外に住んでいた頃、二度ほど菅直人に投票した。二度とも落選した。三度つづけて落選したらしいが、三度目は都区内に引っ越していたので投票はできなかったように思う。ここまで上り詰めるとは……。昔ギャング映画で「たくさんの人間と握手をすれば、手が汚れる」というセリフを聞いて、なるほどなあと感心した覚えがある。菅直人の手がさほど汚れてないことを祈りたい。
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by sumus_co | 2010-06-04 23:00 | 古書日録
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