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算盤の独稽古

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篠田正作編『算盤の独稽古』(名倉昭文館、一九〇五年四月一日十一版)。名倉昭文堂は大阪心斎橋南詰東入、発行者は名倉亀楠。実用書、講談本を中心に明治二十年代初めから大正終り頃までの刊行物がある。

篠田正作は秋野散史とも。国会図書館で八十九件のヒット、かなり多作な著述家だったようだ。さまざまなジャンルを扱っており、演説や作文の本が多いようだが、民事訴訟法註釈とか裁縫独稽古などのタイトルも見えている。

表紙(とはいえ、手製の厚紙の表紙が付けてあるので、ひょっとしたら扉絵かもしれない)には「巨泉」のサイン。川崎巨泉(1877-1942)か。堺に生まれ、明治二十五年、当時堺に住んでいた上方風俗画家の第一人者中井芳瀧に入門。後に婿養子となって跡を継いだ。明治三十六、七年頃から郷土玩具をコレクションしはじめ、画題としても描く一方で、研究会や研究雑誌を作って民俗学的価値を追求したという。『算盤の独稽古』初版は明治三十年、もし最初からこの絵が着いていたとすれば、二十歳頃の作品になる。

算盤は小学校でも習ったし、一時、珠算塾(そろばんじゅく)というのが流行し、近所にもできたので行かされたけれど、苦手だった。馴れるまで辛抱できず脱落した経験がある。そんなわけで、珠(たま、玉)の通った縦棒のことを「桁」というのか、桁はソロバン用語だったかとこの本を読んで気付くしまつ。五の珠と一の珠を分けている棒を「背(せき)」または「横梁(おうりよう)」と呼んでいるが、トモエのそろばんサイトでは「中さん」となっている。

ちなみフランス語では un boulier、または un soroban(boulier japonais)。英語でも soroban で通じるようだ。

そろばんのできるまで
http://www.soroban.com/japanese/process/

÷

宇崎純一展を熱心に実現してくださった大浦氏より今朝こんなメールが届いていた。

《昨日よりアップルのiPad購入の予約が始まり、電子書籍が身近な存在になりそうです。とはいうものの、かつてソニーのタイムブックというサイトを時々見ていましたが結局ほとんど普及することなくこちらのサイトは閉鎖されました。おそらく文字をモニターで読むのは難しいと思います。気楽に読める雑誌などビジュアル的なものが普及する可能性は一方で大きいかもしれません。そこであるいはひょっとして、スミカズの画を電子書籍にすると売れるかもしれない・・・そういう予感がします。》

紙の本と電子の本とが今後どうなって行くのか、たしかに興味深いところである。出版関係者は iPad で雑誌の存在を知った者が紙の雑誌を買ってくれるというようなことをしゃべっていたが(立ち読み効果?)、実際、東京都書店商業組合(理事長、大橋信夫・東京堂書店社長)は11日、米アップル社の新型携帯端末「iPad」向けに6月から電子雑誌を販売することを発表した。その意味ではスミカズもコンテンツとしては有望だということは間違いない。

紙の本と電子の本、そろばんと電卓の関係に見立ててみたくなる。
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by sumus_co | 2010-05-11 20:47 | 古書日録
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