東京へ発った日に届いていた『京都新聞』(二〇〇九年一一月一六日)。行司記者が熱心に取材していただけあって、うまくまとめられている。湯川書房をまったく知らない人にもちゃんと通じる記事になったことを喜ぶ。杉本秀太郎さんのコメントが入ったのがよかった。
《「とてもダンディで本が大好きで穏やかな人。好き嫌いははっきりしていて気に入らない本は出さないという人だった」》
『湯川書房・湯川成一の肖像』を刊行した伊東康雄さんのまとめの言葉も効いている。
《「本は本来、大事にされるべきもの。大切に造られた限定本ならなおさら50年、100年と残っていく。デジタル化で本が消耗品になった今、『本の姿はどうあるべきか?』を追い求めた湯川さんの思いが、人々の間に響いているのではないか」》
本が本来大事にされるべきものというのはまさにそうだと思う。ただ、デジタル化によって本が消耗品となったという意見には頷けない。デジタル化以前すでに消耗品になっていたことは少し古本をいじれば分かることだ。デジタル化がもっと進めば、本はまた宝物にもどるだろう。
《来年3月には大阪市のギャルリプチボワで展覧会が予定されている》ともあった。湯川書房ゆかりのアーティストたちが作品展を開くということは漏れ聞いていたが、ギャルリプチボワなら見に行ける。今から楽しみにしておこう。