Bernard Dorival『Images de la peinture française contemporaine』(Editions Nomis、?)。ベルナール・ドリヴァル『現代フランス絵画のイマージュ』。発行年は記載されていないが、おそらく一九四〇年代の末か五〇年代初めだろう。解説文は英語と仏語が対訳になっており、図版は別刷り貼り込み、昔の画集によくあるタイプ。後期印象派からピカソ、グリス、フレズネーあたりまで三十数点掲載。エディション・ノミは美術関係の本が多いようだ。
ベルナール・ドリヴァルは日本でもよく知られたフランスの美術史家である。いちばん普及しているのは『ルオー』(新潮美術文庫、一九七六年)、次が『ルオー』(美術選書、美術出版社、一九六一年)、そして『ルオー全絵画』(岩波書店、一九九〇年)とルオーの専門家のようになっている。
パリで一九一四年に生まれた。美術蒐集家や芸術家を輩出していることで知られる家系だそうだ。ユトリロは小遣い欲しさにしばしばドリヴァル家を訪ねて絵を買ってもらっていた(これはコメディ・フランセーズの俳優だったジョルジュ・ドリヴァルらしい)。一九四一年にパリの国立近代美術館に入りジャン・カスーの片腕としてコレクションの充実に務め、六〇年代には数多くの二十世紀の美術家たちの回顧展を企画した。一九六二年にはブリヂストン美術館の石橋コレクション展をパリで実現させている。
日本でのようにルオー専門ではなく、セザンヌ、デュフィ、ジャック・ヴィヨン、ドローネーなどに関する著書もあるし、プレイヤード叢書ではブーレーズ・パスカルのアルバム(作家別の写真・図集、新潮文学アルバムのようなもの)を編輯するなど、その活動は多岐にわたるようだ。二〇〇三年に八十九歳余で亡くなっている。
表紙はゴーギャン。ニューヨークのメトロポリタン美術館蔵。高校時代(一九七二年)に連絡船に乗って京都市美術館までメトロポリタン美術館展を見に出かけたことを思い出す、なつかしい一枚。下はピカソの「カフェのヴァイオリン」(一九一三)。