京阪電車の出町駅から歩いて京都大学を目指す。ここが百万遍の交差点。向こうの建物が京大の一部。今出川通りを東に歩いている。
交差点を渡ってなおも東へ行くと数軒の古本屋あり、それを過ぎれば目的地、知恩寺の山門が。(ちょっと行き過ぎて撮っています)
会場地図を確認して作戦を練る(?)
まだ十時前、古本供養の時間なのでビニールシートがかかったまま。
いっせいにブルーシートが取り払われ、販売開始。それにしても百円均一コーナーがないというのは、気合いが入らないことはなはだしい。
いろいろな人に会ったがそれは省略。宇崎純一『新絵画の手本』(家村文翫堂、一九二二年十版)も一冊入手(!)。といってもこれはMさんが発見して安く譲ってくれたもの。どこかの店に百円均一はないかと会場をさまよっていると、ありました、隅っこの方に床机ふたつ分ほどのスペースを埋めてある。背がずらっと並んでいる、そのなかのなるべく汚い背を(文字の読めない背を)選んでは引き抜いていると、おや? という一冊があった。
表紙に「那珂著/銀の匙/岩波書店」。奥付(大正十年十二月十日発行)を見て、まえがきを読むと、どうやら初版本らしい。とても簡素な造りだ。状態は悪い。背は傷み、表紙はかろうじて一本の麻紐でつながっているありさま。中勘助にはそう興味はなかったが、先日、灘高で「銀の匙」をずっと教えていたという先生の番組を観たばかり。とにかく百円だ、買っておく。
スミカズと『銀の匙』でいい心待ちになってあとはぶらぶら流して歩く。某書店の五百円均一をながめていると、ほるぷの復刻版数十冊並んでいた。そのなかに『銀の匙』がある。手にとって本体を箱(復刻のための保護箱)から引き抜くと、まさにさっき百円で買ったのと同じ「那珂著/銀の匙/岩波書店」の表紙が目に入った。よっしゃー!