ANA国内線【PR】

林蘊蓄斎の文画な日々
by sumus_co
カテゴリ
古書日録
もよおしいろいろ
おすすめ本棚
京都のお茶漬け
東京アレコレ日記
佐野繁次郎資料
宇崎純一資料
渡邊一夫の本
青山二郎の本
spin news
読む人
パリ古本日記
写真日乗
あちこち古本ツアー
装幀=林哲夫
著述関連
画家・林哲夫
雲遅空想美術館
淀野隆三関連
喫茶店の時代
うどん県あれこれ
貧乏こっとう
以前の記事
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
more...
お気に入りブログ
最新のコメント
早々のご回答ありがとうご..
by 姫だるま at 08:31
値段はお店によってまちま..
by sumus_co at 21:21
今日、天三おかげ館に1号..
by M at 21:10
青山二郎には装幀の図案と..
by sumus_co at 13:33
おはようございます。 昨..
by よし at 08:36
記載しております住所へ直..
by sumus_co at 14:16
私は現在、松村久子さんの..
by 姫だるま at 09:33
市場に流れれば手に入る可..
by sumus_co at 21:19
会場でお会いしましょう。..
by sumus_co at 21:17
まあ、雑誌や資料類などは..
by 広島桜 at 19:17
メモ帳
お問い合わせはこちらまで

本を散歩する雑誌 [スムース]
洲之内徹略年譜
『書肆アクセスの本』
海文堂書店
恵文社一乗寺店
Calo Bookshop & Cafe
貸本喫茶ちょうちょぼっこ
BOOKONN
奥付検印紙日録
とらんぷ堂
書肆砂の書
みずのわ編集室
みずのわ放送局
エエジャナイカ
蟲文庫
古書日月堂
海月書林
田中栞日記
古書の森日記
日用帳
なえ日記
lady pippon
古書現世店番日記
海ねこ的日々の暮し
m.r.factory
ナンダロウアヤシゲな日々
内澤旬子・空礫絵日記
四谷書房日録
森茉莉街道をゆく
ねこそぎ記念
本の街日記
リコシェ
旅猫雑貨店
津田明人
マン・レイと余白で
北方人日記
柳居子徒然
駅前糸脈
日々のあわ.。o○
晩鮭亭日常
空想書店書肆紅屋
bibliomaine mod
autographes et …
BiblioMab
Le blog de Yv
Le Monde
Gibert Joseph
bnf
BRITISH LIBRARY
Galaxidion
Library of Congress
Strand Bookstore
The Book Design Review
penguin blog
Mark Simonson Studio
modernmechanix
くうざん本を見る
神保町系オタオタ日記
ma-tango
jun-jun1965
書物蔵
スローラーナー
本はねころんで
漁書日誌
城戸朱理
町家古本はんのき
古書ダンデライオン
Kanecoの日記
吉岡実の詩の世界
qfwfqの水に流して
古本屋ツアー
清水哲男
Automat svět
細馬宏通
中野晴行
古通・編集長日誌
昭和初期抒情詩と江戸時代漢詩のための掲示板
本と暮らす
ウロボロスの回転
表現急行
tundowの日記
盛林堂日記
フクヘン
花森安治の装釘世界
文壇高円寺
ぶろぐ・とふん
okatakeの日記
古本ソムリエの日記
最新のトラックバック
京都印刷発祥之地 記念碑建立
from 印刷見聞録|からふね屋|京都
本を散歩する雑誌 [スム..
from 相互に旅をする人
土曜日のブックオフ
from 古本万歩計
[書評][詩歌に寄せるエ..
from 読書百篇
第33回西荻ブックマーク
from 西荻ブックマーク
北野武似の少年は夏休み、..
from 月の風ノート
【ライト兄弟】についてブ..
from 最新キーワードチェック!
『田辺茂一と新宿文化の担..
from じんぶんや「紀伊國屋書店と新宿」
美の名言
from 美の名言
横尾忠則の小説
from Mの日記@古本T「たまにはス..
ライフログ
検索
ファン
XML | ATOM

skin by excite


柳田泉の文学遺産


よくぞ刊行した、という本は少なくないが、最近その感を強くしたのがこの『柳田泉の文学遺産』全三巻(右文書院、二〇〇九年、装幀=クラフト・エヴィング商會)である。柳田泉は明治二十七年青森県生まれ、早稲田英文科を出て、英文学を志すも、関東大震災に遭遇し、明治文学研究の必要性を痛感、当時はほとんど省みられていなかった明治文学を研究するために厖大な古書を蒐集し、多くの関係者の談話を記録、論文を発表した。その柳田の佚文というか単行本未収録の文章を精選のうえ収録したのがこの三巻本。

まずは作家たちの思い出や逸話を語った第三巻から読んでいる。明治文学といってもそう特別興味があるわけではないが、『喫茶店の時代』を書いていた頃にあれこれ読み散らしたような記憶もある(ほとんど忘れてます)。そこに付け加えられそうなのは「荷風と帚葉散人」で、帚葉散人は「校正の神様」として有名な神代種亮のこと。柳田によれば神代は毎日銀座をくまなく歩きさまざまな話題を拾っていたそうだ。そして荷風も銀座へ日参していた時期に二人は親しくなり毎日のように会っていた。神代から聞いた話を何度も小説のタネに使っているという。

《毎晩会ったけれども、そのころから荷風は、金銭上にきっちりとしていて、お茶でもコーヒーでも自分の分だけしか払わなかったという。一杯十銭といったころのことである。だから、荷風は、お茶かコーヒーかをのんでも、帚葉氏は水一杯でお相手することも多かった。》

帚葉は女給から先生扱いされて人気者だったので、水だけ飲んで粘っても店からは厭な顔はされなかったらしい(とはいうものの『喫茶店の時代』147頁には並木通りのコーヒー専門店「耕一路」からあまり長居するので出入り禁止をくらったという逸話が出ている)。

以上は昭和文学ネタだが、明治文学関係では若き内田魯庵が田辺たつ子(後の三宅花圃)にふられた話とか、樋口一葉の次兄虎之助は奇山と号する陶工だったというのが印象に残った。柳田によれば、虎之助は父と意見が合わず京都へ下って陶器画工に弟子入りした。その後、神戸に出て外国人相手に注文をとって仕事は相応に繁盛していたそうだ。虎之助について座右の和田芳恵『樋口一葉』(講談社現代新書、一九七四年三刷)を参照してみると、

《虎之助が少年時代に勘当され、別戸籍になっており、なつ[一葉]に頼るより仕方なかった》

《次男の虎之助も、一人前の陶器の絵付け職人になり、薩摩金襴手の名工として嘱目されていた》

《父に死なれた母となつ、くにの三人は、家をたたんで、芝西応寺町の虎之助を頼り、同居するようになった。虎之助は酒乱の気味もあり、泉太郎[長兄]びいきの母と意見があわなかった。虎之助のところに陶工も同居しており、その世話もしなければならない。なつは萩の舎の稽古どころではなくなった》

などと出ている。一葉の父の死は明治二十二年だから一葉はまだ十七歳である。長兄は父より先に死んでいる。この当時、虎之助は東京に戻っていたわけだ。しかし結局、母と次兄のいさかいが絶えず、この翌年には本郷菊坂へ母妹と三人で引っ越すことになる。萩の舎(はぎのや)は一葉が入門していた中島歌子の歌塾。魯庵をふって三宅雪嶺と結婚した田辺花圃も同門だった。

虎之助の陶器は一葉記念館に所蔵されているらしいが、京焼か薩摩焼か、ちょっと興味をそそるところ。ちなみ和田芳恵(この人も男性です、念のため)も「一葉女史と泉鏡花」の項に登場している。

《私などは一葉については大した知識もなし、又直接知つてゐたわけでもなく、これといふものを書いてもゐないのに、明治文学関係者のうちではまづ年寄りの部類に入るといふので和田君は度々訪問して、いろいろ相談もうけた。》

その和田の相談に応えるかたちで、博文館の編集を手伝っていた時代の泉鏡花が樋口一葉のところに原稿依頼に出掛けた話を紹介したのが「一葉女史と泉鏡花」。ここに引用された鏡花の描写が一葉の飾らない姿を髣髴とさせる。

「余りくさくさするもんですから、湯呑で一杯……てつたところ……黙つてて頂戴」。ーー

こんな些細な話こそ文学研究の醍醐味というもの。『柳田泉の文学遺産』読んでしまうのが惜しい!

右文書院 http://www.yubun-shoin.co.jp/
by sumus_co | 2009-10-18 21:24 | 喫茶店の時代 | Trackback(1) | Comments(0)
トラックバックURL : http://sumus.exblog.jp/tb/12156051
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Tracked from 古本万歩計 at 2009-10-25 23:10
タイトル : 土曜日のブックオフ
昨日はいつもとは違うブックオフへ、「文庫2冊400円」を期待しつつ足をのばす。見事ビンゴで、釣果は以下の通り。 <講談社文芸文庫> ・『戦後短篇小説再発見⑤ 生と死の光景』 ・『戦後短篇小説再発見⑥ 変貌する都市』 ・『戦後短篇小説再発見⑦ 故郷と異郷の幻影』 ・『戦後短篇小説再発見⑧ 歴史の証言』 ・『戦後短篇小説再発見⑨ 政治と革命』 ・『戦後短篇小説再発見⑩ 表現の冒険』 ・井上靖 『補陀落渡海記 井上靖短篇名作集』 <その他> ・谷崎潤一郎 『潤一郎ラビリンスⅠ 初......more
名前 :
URL :
削除用パスワード 
<< からすうり 読む人 >>