本日は北山へちょっと出かけたついでに善行堂へ立ち寄った。若いお嬢さんと楽しげに語らっているところを邪魔してしまった。棚の本もかなり入れ替わっている。近所の人たちがのぞいてくれるようになったらしい。
そこでソムリエ氏がさっと取り出したのが生活社の「婦人の生活」シリーズのうちの二冊(佐野集成056、061)。さすがソムリエというだけはある。ツボを心得ている。佐野集成056には傷んではいるもののカバーが付いているではないか!
この雑誌で五十頁にわたって「きもの読本」を執筆している「安並半太郎」が花森安治のペンネームであることは海月書林の市川慎子さんが『アイ・フィール読書風景』秋号(二〇〇五年)に書いておられる。今、検索するまですっかり忘れていたが、花森ペンネーム問題については昨年も触れた。
http://sumus.exblog.jp/10040062/
やはり花森の雑誌だったようだ。この「あと書き」には《全十冊完了(年四回)予約はいたしません》とある。
その頃のブログで生活社の鉄村大二に触れたところ、ご遺族の方よりご連絡をいただき、鉄村大二のおおよそのプロフィールが判明した。出身は広島、早稲田大学でドイツ文学を学び、菊池寛の世話で婦人画報社に入った。『コドモノクニ』の出版に関わった後、昭和十三年頃生活社を興した。当時、佐野繁次郎のアトリエ(虎ノ門)の近く(赤坂)にしばらく住んでいた。また『婦人の生活』を出版するに当って『婦人生活』の誌名も登録していたところ、『婦人生活』が創刊(一九四七年)することになったときに乞われて譲ったそうである。一九四六年六月二〇日歿。まだ三十九だった。その跡を実兄が継いでしばらく経営を続けた(発行書目から一九四九年までだろうと推測される)。できれば生活社について詳細な刊行書目も含め、いずれもうすこし詳しい報告をがまとめられればと思う。