昨日の続き。S・M両氏と善行堂を出て、進々堂でだべってから(善行堂の行く末についてカンカンガクガクの論議、ソムリエ氏くしゃみ連発だったかも)、三人で京大文学部あたりの門の前で停まっているタクシー(京大の先生方が毎日御利用になる先生待ちタクシー)を駆って室町通今出川上ルの
獺祭書房(京の古本ツアーで一番最初に紹介した店)へ。
そこで「町家古本はんのき」のチラシをもらって詳しく場所を教えてもらう。獺祭さんから歩いて十分とかからない。同志社大学新町校舎を過ぎて小川通りという路地を北へ上がれば、寺之内通りに出るほんの手前である。突き当たり左は人形寺として有名な宝鏡寺。
ピカピカにレストアした今どき町家とは違って、古さを残した手作りの味にセンスの良さが感じられた。何と言っても百円均一の篭が表に二つも出ているのが有り難い。その内容も見る価値はあった。新村出『南蛮更紗』(改造社、一九二五年十六版)に『家の光』二十巻十号(一九四四年十月一日)をピックアップ。
三人のオンライン古書店主が強力して店を出したのだが、都合よくそのなかの一人旧知のダンデライオン氏が店番をしていた。福山雅治を庶民的にしたような好青年。S・M両氏を紹介すると緊張の面持ちだったが、古そうな買取品を持ち出して値付けについてS氏に相談していた。とにかく品揃えはノンジャンルだからいろんな楽しみ方ができる。文学・美術はもちろん絵本やオブジェなども取り揃え、古書らしい古書から新し目の古本まで。とくに紙モノがいろいろあるのがいい。ここもやはり口笛文庫ふうなテイストだと言えよう。今後が大いに期待できる。
臙脂色の書棚はギャラリー中心に衣替えした加藤京文堂の払い下げ品だという。こちらもまだまだ棚にもスペースにも充分な余裕が見られた。店舗としては表の一間だけを借りているそうで、奥の二間はイベントなどを催すときだけ借りる予定だそうだ。
店内ではまず『書物』第二年第九冊(三笠書房、一九三四年九月一日)。秋朱之介編輯で、これが終刊号。チェホフ特集。内田百間の「今朝冬」掲載。値段は安いデス。他にも数冊買ったが、いずれ改めて紹介したい。
烏丸今出川(地下鉄アリ)から「獺祭〜はんのき〜カライモ」というコースができたのは、これまで圧倒的に中央から左(東)が重かった京都の古本分布を少しでも西に傾ける記念碑的な意味を持つ。このルート周辺にあと二軒ほどもできれば申し分なしなのだけど、まずは各店の繁盛を祈りたい。町家古本はんのき、イチオシです。
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