中沢弘光・森脇忠共著『スケッチの描き方』(アルス、一九二四年十九版)。海文堂書店の古本市にて300円。古本者にとって中沢弘光は金尾文淵堂の出版物でお馴染みの名前。先年(二〇〇六年)、神田の文房堂画材楼上でささやかな回顧展を見た記憶がある。
東京藝術大学大学美術館・中沢弘光
http://db.am.geidai.ac.jp/person.cgi?id=1705
森脇忠(1888~1949)は島根県江津市に生まれ、東京美術学校卒、黒田清輝のグループに属し、中沢弘光に可愛がられたようだ。大正時代には文展・帝展で活躍し、第三高等学校・京都高等工芸学校などで教鞭をとった。よく知らない画家だったが、この本に見られるデッサンやスケッチにはたしかな腕が感じられる。
鳥居の絵は中沢の作。説明にはこうある。外光派らしい描法だ。
《これを写生するには、空が一番明るく輝いてゐるから、紙を生地の侭残して置いて、他は全部淡い黄、赤の色をかける、それからは色で視て、あつさりと描け、鳥居を描く時も、リフラクシヨンに注意して、確かに然も軟かく描け、初めの鉛筆の線などに、拘泥し過ぎては堅くなつて筆触[ルビ=タツチ]が死ぬる。》
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一昨夕はひどい雷だった。かつて無線LANが麻痺した経験があったのでいち早くそちらの電源は抜いた。本体はスリープの状態にして、ちょっとパソコンの前を離れて作業をしていたときに特大の雷が近くに落ちた。ガラガラドンピシャ! なんと、これでパソコンが自動的にシャットダウンしてしまったのだ(そういう機能が付いているらしい)、スタートボタンを押してもウンともスンとも言わない。ビビル。遠くから救急車のサイレンがピーポーピーポー……。
絵を描くこと以外、今やっている仕事はすべてと言っていいくらいパソコンに入っている。一応、最低限のバックアップは取っているものの、もしおシャカになったりしたら大打撃である。今回はしばらくしてリセットできたのでひと安心だったが、冷や汗ものだった。これからは雷が始まったら終了させねば。