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二十歳のエチュード

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原口統三『二十歳のエチュード』(書肆ユリイカ、一九四八年九月三〇日三版)。街の草にて。伊達得夫が書肆ユリイカとして初めて刊行した書物である。それ以前に勤めていた前田出版社でも刊行しており、そちらは一万部ほども売れたという。伊達が出版に対して自信を深めた一冊だった。

《ユリイカ版『二十歳のエチュード』は、前田版より字詰め行取りを増やしたことから総ページが減り、スマートな一冊になった。ジャケットにはピカソ「フランコの嘘」のデッサンを使い、表紙と本扉は欧文の活字組のみ。天と前小口がアンカットである。七月に第二刷、九月に第三刷と版を重ね、よく売れたようだ。》(田中栞『書肆ユリイカの本』紅梅堂、二〇〇四年)

ピカソ「フランコの嘘」は詳しくは「フランコの夢と嘘」(Rêve et Mensonge de Franco)。一九三七年に、前年のスペインにおけるフランコ将軍の叛乱でフランスに亡命した人々を援助する資金集めのために制作したという。九場面が描かれたフォリオが二枚で一組になっている。同年作の「ゲルニカ」の習作のような意味もあるだろう。

伊達はそのうちの連続する二場面を借用した。ただし、これは写真製版ではなく書き版(印刷者か誰かが原画をトレースしたもの)のようだ。原画(銅版画)とは微妙に線が異なっている。

本の内容は、二十歳で入水自殺した青年の遺書というか、思索ノートのようなもの。伊達がこれに入れ込んだ理由があまりよく分からないけれど、同じような青春の一時期があったのかもしれない。
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by sumus_co | 2009-06-08 21:17 | 古書日録
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