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半獣神と牧神

昨日の補足。マラルメの詩は「半獣神の午後(L'après-midi d'un faune : églogue)」。ドビュッシーがそこから着想を得て作曲したのが「牧神の午後の前奏曲( Prélude à l'après-midi d'un faune)」(1894)。同じ単語を「半獣神」と「牧神」に区別するのは何故だろう。

Debussy: L'après-midi d'un faune (Stokowski)
http://www.youtube.com/watch?v=F5A4CkUAazI

L'Apres-midi d'un Faune - The Paris Opera Ballet
http://www.youtube.com/watch?v=uFRUK2SVeQc

『広辞苑』は「半獣神」に《牧神の別称。パン。牧羊神》。牧神を見ると《(Faunus)ローマ神話の林野および牧畜の神。半人半獣。ギリシア神話のパンと同一視される。牧羊神》。牧羊神は《牧神。パン》。

《(ラテン語 faunus)古代ローマにおける田園の神。毛で覆われ、角があり、山羊の足をもつ姿をしていた》
(『ヌーヴォ・プティ・ラルース』1953)

《faun 名⦅ローマ神話⦆(半人半羊の牧神[ぼくじん])【羅, faunus】》
(『新英和中辞典』研究社、1934)
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《Pan 名⦅ギリシヤ神話⦆パン神(頭に角があり脚は野羊に似た牧神)》
(『新英和中辞典』)
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《satyr 名⦅ギリシヤ神話⦆半人半獣の森の神.【希, saturos】》
(『新英和中辞典』)
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《faun(fawn), n. a classic woodland deity, resembling a satyr in appearance.》(『WEBSTER'S APPROVED DICTIONARY』1941)
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《Pan(pan), a woodland spirit, god of flocks and patron of shepherds, represented as a human, with the legs, feet and horns of a goat and playing pipes, and as a being who inspired sudden fear ; hence, the word panic.》(『WEBSTER'S APPROVED DICTIONARY』1941)
パイプ(笛)を演奏するという説明に竪琴のようなものを奏でている挿絵というのもいかがなものか。
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《fauno m, 半人半羊をした林野の神》
《sátiro m, 好色漢;〈神話〉半人半やぎの森の神》
(『絵入りスペイン語辞典』大学書林、1969)
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《faun n.〘ローマ神話〙牧夫や農夫があがめる半人半獣の林野の神;耳がとがり, やぎの角と尾と足を持ち, 性質はいん乱;ギリシア神話の satyr と同一視される》
(『新英和大辞典』研究社、1968、挿絵も)
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《Pan n.〘ギリシア神話〙森・原・牧羊などの神, 牧神(頭に角があり, 足はやぎに似, 笛を吹く;ローマ神話の Faunus に当る)(cf. panic)》
(『新英和大辞典』)
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《satyr n.[しばしば S-]1.〘ギリシア神話〙Dionysus の従者で半人半獣の森の神の一人(酒と女が大好物;ローマ神話の faun に当る)》
(『新英和大辞典』)
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ついでに『山海経』(平凡社ライブラリー)の「第九海外東経」から「毛民国」
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cf.とあるように「パニック」という言葉は牧神パンの出現で引き起こされる不意で訳のわからない恐怖のことらしい。ちなみに漢字の「牧」は牛へんなので本来は牛を飼うこと。

最後にラテン語の Faunus をたずねてみると《a mythical king of Latium, worshipped as the Italian Pan》(『Elementary Latin Dictionary』Oxford University Press, 1997)とあった。ラティウムはローマの南東にあった古代国家。要するに征服された民族(先住民)の国王が半獣の神となって民間に信仰されてきたということだろうか。
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by sumus_co | 2009-05-30 20:20 | 古書日録
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