林蘊蓄斎の文画な日々
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『リテレール』第10号(メタローグ、一九九四年九月一日、表紙・目次・絵=山本容子、デザイン=桜井久、ちなみに山本容子描く表紙の人物はアルフレッド・ジャリらしい)。先日、読みたいなあ、と書いたら、早速「KYO」さんが見つけてくださった。深謝です。添えられていたKYOさんの東京報告。

《一箱古本市に行ってきました。天気も良く、二日間で開催スポット全てを廻ってきました。19箇所のスタンプラリーを完遂すると「へびみちでまようて しのばずくんそうなん」の一文が……。》《南陀楼さんはまっ赤なポロシャツを着て自転車で各スポットを廻っていました。岡崎さんはちょっとお疲れ気味の様子。このところブログ更新のなかった「北方人」さんもお元気でした。向井透史さん、浅生ハルミンさんの姿も! ハルミンさんはお書きになる文章そのもののようなかわいらしい方ですね。図々しくも1日目の打ち上げに参加し、内澤旬子さんにもお会いできました。》

《東京堂の3階にもお邪魔し、畠中さんのお元気な姿も拝見してきました。》《中野ブロードウェイにある「古書うつつ」で天野忠『余韻の中』の文字どおり"完本"を見つけました。これが今回の東京遠征のいちばんの収穫でした。》

ということで、安直な編集者がネタに困ったら思いつく日記特集(?)、スーパー・エディター安原顯のお手並みやいかにと『リテレール』をあちこち拾い読み。はっきり言って、どの日記も面白かった。ただ、あまりにもビッグネームばかりなのが、スーパーのスーパーたるゆえんか、あるいは時代錯誤の現れか。日記ふうの編輯後記「スーパー・エディターズ・ノート」はこれまたジェット噴射という感じ。

とくに力が入っているのが、取次における小出版社と大手出版社との違法な差別についての糾弾。これは小出版社の主が必ず直面する不条理で、いくら毒づいても容易に変るものではない。数字を細かく挙げて説明しているが、そのなかにこう書かれていた。

《全国には四万軒もの本屋(と称する店)があるらしいが、ぼくらの出す本を置いてくれる書店など、せいぜい二、三百軒しかない。》

なんと、一九九四年ごろ、十五年前、本屋の数は四万軒と言われていたのか(!)、それが今では半分にもほど遠い数まで落ち込んでいるわけだ(たぶん減ったのは『リテレール』など置きそうもない店だとは思うが、それにしても……)。結局、スーパー・エディターは経営不振からこの年の暮れに自分の作ったメタローグを離れた。

見っけものは、塚本邦雄の「献身」と題された日記である。これは政田岑生の死の報せを受けるところから、政田との出会いとその献身ぶりを回想する文章であった。

《私の書斎・書庫の空怖ろしい蔵書の類も、完全に把握した。たとえば、「青柳瑞穂訳の『マルドロオルの歌』がなくなった!」と電話でSOSを発すると、「書斎の入口の書棚の三段目の、前後に積まれた後ろの方の三、四冊目にあるはずです。本を、ああいう並べ方すると、あとあと困りますよ」式に、遠隔操作を試みた。》

政田岑生という人物、いよいよ興味津々である。そうそう、政田で思い出した、湯川書房。

《この10日発行の月刊「京都」6月号に湯川書房の本が取り上げられるとか。又、25日発売の季刊「銀花」夏号に「湯川書房・湯川成一の仕事」が紹介されるそうです(詳細不明)》

というメールを某氏より頂戴した。それは楽しみだ。『月刊京都』六月号は「本のある風景」特集らしい。

月刊京都
http://www.gekkan-kyoto.net/

季刊「銀花」
http://books.bunka.ac.jp/np/searchresult.do?maga_id=4
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by sumus_co | 2009-05-08 21:25 | 古書日録
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