京都国際マンガミュージアムを出て押小路通を東へ寺町まで。尚学堂書店をのぞいて、寺町を南下。この前、撮影しなかった文栄堂書店と竹僊堂の写真をとる。キクオのショーウィンドウ(桜にちなんだ木版本展示)を拝んで、京阪書房へ。表のワゴンから桜井恒次『或る山村共同耕作の記録』(大日本出版、一九四四年)を抜き出す。一目、花森安治の装幀と思った。残念ながらどこにも記名はないので断言はできないが、このテイストは花森で間違いないだろう。調べてみるとけっこう古書価は付いている。また店内の10〜50円箱には河野仁昭『詩集 瑣事』(文童社、一九六九年)も入っていた。こういう日もある。
桜井恒次は著者略歴によれば《昭和十六年東京帝大文学部社会学科卒業現在財団法人大学新聞社常務理事・東京帝国大学嘱託・東京帝大都立学会専任研究員》。一九四五年には丸山眞男、瓜生忠夫、内田義彦、中村哲らと青年文化会議を結成。『きけわだつみのこえ』(東大協同組合出版部、一九四九年)の編集委員として渡辺一夫、真下信一、小田切秀雄らとともに名を連ねている。