ここも人通りが多い場所にあり、しかも交叉点のすぐ近くなので、信号待ちをしている間に、表の平台を物色できるという希有な店。驚くような平台ではないけれど、なおざりにできないところがある。入ってすぐの足許に10〜50円という一箱が置かれているが、ここも必ずチェックしなければならない。思わぬ出ものがある。店内の棚は人文系のまっとうな本屋さんのお手本というかんじ。ご主人は三代目にあたるというから、さもありなん。ここで買った想い出深い本は、以前に表紙をアップしたので、今回は扉を掲げるが、井伏鱒二『侘助』(鎌倉文庫、一九四六年)だ。この川上澄生の版画がうれしい(印刷ではなく木版画)。
《阪倉は大学堂を辞め、独立して阪倉書店をはじめ、まもなく、河原町三条上ル東側に店をもち、京阪書房と名乗った。京都阪倉書店の略だという。》(脇村義太郎「京洛書肆街考」)
京都府京都市中京区河原町通三条上ル恵比須町439