『ヴィルヘルム・ハンマースホイ』(日本経済新聞社、二〇〇八年)の図録のなかから。東京で見て感激した知人が送ってくれた。いい感じの図録である。上の絵は「読書する女性」(1903)。雰囲気は明らかにフェルメール。
一九〇三年というと日本は日露戦争前夜、村井弦斎の「食道楽」が連載されて大ヒットした。ライト兄弟初飛行もこの年。浅井忠の
「読書」(1901、東京国立博物館)や
「縫物」(1902、ブリヂストン美術館)などとほぼ同時代。似ているところもあるようだ。ちなみにピカソは青の時代のまっただなか。
なおハンマースホイの国デンマークは、一時期、北欧のほとんどを支配する帝国だった。二十世紀半ばまでアイスランドもデンマークの領だったし、グリーンランドは今もそうである(自治政府)。
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京都府立図書館(武田五一設計、現在は改築されている)の前に建っている二宮尊徳像。『大学』を手にする十六歳の金治郎(金次郎)。今こそ彼の報徳思想(私利私欲に走るのではなく社会に貢献すれば、いずれ自らに還元されるという考え方)を少しは思い出してもいいかもしれない。