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花森安治の編集室

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唐澤平吉『花森安治の編集室』(晶文社、一九九七年、ブックデザイン=平野甲賀)。先頃、花森の話題が続いたのをいい機会に、買いそびれていたこの本を入手した。新刊で注文したところ「品切れ」との返事だったため日本の古本屋を通じて購入した。(ただし現時点ではまだ晶文社のHPに載っている)

とても読みやすい文章で一気に読了。晩年の花森安治の下で六年間働いた唐澤氏の体験談がなんとも面白い。品切れはもったいない。『暮しの手帖』がどうして成功したのか、花森安治とはどういう人間だったのか、内部からのまなざしで実感することができた。

戦前から戦後にかけて花森は変化していない、ブレていない。これは間違いないようだ。その象徴が花森が大政翼賛会時代に使っていた仕事机であろう。その古い木の机を『暮しの手帖』のスタジオでも使用していた。机が気に入っていたとか、そういうことではおそらくない。戦時中その机で行った仕事に「職人」としてプライドを持っていたということだろう。そのためかえって戦前戦中の仕事について口を閉ざしていたのかもしれない。

ワンマンで強引な花森論理についてもあれこれと語られている。著者は、ある意味、花森を大きな存在としながら、数々の逸話によってその普通人の側面を読者に認めさせようとしているかのようだ。むろんどんな偉人だって人間なのだから当り前のことでもあるが。

とくに興味を引かれたのは、ソウテイにどういう文字を当てるか、という花森理論。正確を期すため全文引用してみる。

《「幀という字の本来の意味は掛け物だ。掛け物を仕立てることを装幀という。本は掛け物ではない。訂という字はあやまりを正すという意味だ。ページが抜け落ちていたり乱れているのを落丁乱丁というが、それを正しくするだけなら装訂でいい。しかし、本の内容にふさわしい表紙を描き、扉をつけて、きちんと体裁をととのえるのは装訂ではない。作った人間が釘[ルビ=クギ]でしっかりとめなくてはいけない。書物はことばで作られた建築なんだ。だから装釘でなくては魂がこもらないんだ。装丁など論外だ。ことばや文章にいのちをかける人間がつかう字ではない。本を大切に考えるなら、釘の字ひとつもおろそかにしてはいけない」》

出典が記されていないから、これは唐澤氏の聞書きと理解しておくが、はっきりいってこじつけそのもの。《装丁など論外だ》と言う、その「丁」という字は《釘の形で、釘の初文》(『字統』)なのだから釘と同じで、釘のご先祖さん、クギの形を現した象形文字。だから論理的に考えて、もし本が建築だからクギを使うというなら「装丁」の方が本当であろう。

「幀」が掛け物というのはその通り。だが、だからダメというのもあまり賛成はできかねる。クギよりも絵絹(元来は枠に張った絹絵が「幀」の意味だった)の方が、巻物や和本を考えた場合、明らかに妥当である。実際に花森もソウテイのために多くの絵を描いているのだし。「装訂」についてはまったく同感。長沢規矩也の説に従う辞書が間違っている。

もうひとつ文字のこだわりで引用すれば、忠臣蔵の蔵は旧字の「藏」でないとだめだったそうだ。藏にはカギが付いているから、という子供みたいなリクツによって、である。むろん旧字のカギのように見える部分は武器の象形でカギとは無関係(花森が白川静を読んでいたら、とても面白がっただろうに!)。その一方で難しい漢字を使うことを極度に嫌ったというからもうメチャクチャである。

ただしかし、そんな強引な「親方」のメチャクチャさが、今の雑誌に失われているのかも知れないな、とあらためて考えさせられたのも事実である。

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早乙女貢氏が亡くなられた。作品などではまったく存じ上げない作家だが、大衆文学研究会の重鎮であったため、『喫茶店の時代』で研究賞を頂戴したときの授賞式の会場でお話させていただいた。まさに文士の出で立ち(紋付袴)、物腰だった。控え室で、中山義秀の思い出を尾崎秀樹の遺族の方々や伊藤桂一氏らとされていたのを、かしこまって拝聴したことを記憶している。御冥福を御祈りする。
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by sumus_co | 2008-12-30 21:07 | 古書日録
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